(数字で読む政治)1867億円 在日米軍への「思いやり予算」 突出して高い負担額
- 2012/6/3付
- 日本経済新聞 朝刊
- 727文字
北朝鮮の核開発、中国の軍備増強など東アジアの安全保障環境は不安定さを増している。この安定をめざして日本に駐留する軍隊が在日米軍であり、活動を下支えするのが在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」だ。
米軍基地内で働く従業員の労務費や光熱水料費、基地内住宅を補修・維持する提供施設整備費などが主な費目。政府は2012年度予算で1867億円を計上した。2756億円を盛った1999年度をピークに減少傾向にあるが「世界的に見れば負担は大きい」(防衛省関係者)。
「思いやり」の語源は78年にさかのぼる。円高で在日米軍のやりくりが厳しくなり、当時の金丸信防衛庁長官が「日米関係の信頼性を高めるのであれば、思いやりがあってもいい」と発言。基地内の日本人従業員の労務費などを負担したのが始まりだ。
予算の根拠は、60年の日米地位協定と87年の特別協定の2つ。地位協定は日本側が在日米軍に土地や施設を提供し、駐留経費の一部負担を定めた。しかし70年代以降、物価上昇や賃金高騰を受け、米側は地位協定にない費用についても日本に負担を求めた。そこで87年に地位協定の範囲外の費目も日本が負担することとする特別協定を結んだ。
米軍1人当たりの支援額を比べると「日本が突出して高い」(財務省)という。米国防総省の資料によると02年時点で日本は10万5976ドル。韓国は2万1772ドル、ドイツも2万1720ドルと日本の約5分の1にすぎない。「こうした構図は今もさほど変わらない」(防衛省)という。
現行の特別協定は16年3月末で期限を迎える。その後は新たな特別協定に基づき思いやり予算を組むため、15年初めには「日米間で最もシビアな交渉」(防衛省幹部)が始まる。
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