【cf.】寺島実郎 |
イギリスは、アメリカとは独自に、
ユニオンジャックの矢などで、次代を着々用意しています。
ユニオンジャックの矢は、
ロンドン、中東の金融センター・ドバイ、インドITのバンガロール、大中華圏の頭脳シンガポール、シドニーからなります。
イギリスは、 イギリス連邦の盟主です。
54カ国がメンバーです。
54カ国のネットワークを通じて、
一見バラバラな事象を関連づけ、これらの国と共存をはかっています。
これらの国々は、4年に1度のコモンウェルスゲームズを通じて親睦を図っています。
わたしは1998年、マレーシアでコモンウェルスゲームズに出くわしました。
オリンピックよりはるかに人気があります。
2010年はデリーで行われました。次はスコットランド、オーストラリアと続きます。
また、西暦の奇数年に行なわれる英連邦首脳会議などもメンバー諸国にとっては、大きなイベントです。
イギリスは、たとえEUから締め出されても、英連邦で経済圏を形成できます。
イギリスが、EUとは一線を引き、堂々としているのも、このためです。
英連邦の方が、世界的でEUより強いようです。
英連邦のメンバー国にとっては、何よりも自国の安全保障になります。
マレーシアとオーストラリアは、人口が同じでよくけんかをしますが、
止め役がいるから、堂々とけんかできるわけです。
英連邦諸国は、英語が通じ、法律、制度など共通の地下水脈が流れており、
ネット時代には有利に働いています。
英連邦ムラは以下を共有しています。
- 英語という共通言語
- 文化遺産
- 行政・教育・司法システム
これらの共通基盤に立って、、密度の高い技術、システム、ソフトウェア、サービスなどの財を供給しあうことは相互に大きな強みとなります。
英連邦自体が情報ネットワーク時代の先取りです。
イギリス連邦、The Commonwealth 54カ国
コモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games)
◇ ◇ ◇
日本や韓国は、ネットワークで固く結びついた国々をもっていません。
英語国フィリピンは、アメリカと同体で孤立しています。
1994年に黒人のマンデラが大統領になり、
アパルトヘイト政策(人種隔離政策)をやめ、国際社会の仲間入りを果たしました。
そのときに、マンデラが真っ先にしたことは、イギリス連邦への加入でした。
イギリスから植民地にされても、どの国も慕い続けています。
英連邦は、シンガポールを通じて、大中華圏と地下水脈でつながっています。
また香港の経営を通じて、中国を知り抜いています。
イギリスは、強くしたたかで、将来への布石をしっかり打っています。
頼りにされています。
日本外交は、米国一辺倒、孤立、理念なしです。
壊滅状態です。
英国外交には学ぶべきところが多くあります。
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