(政界回り舞台)旧第一生命館(東京・有楽町) マッカーサーが民主化を指揮
- 2012/7/22付
- 日本経済新聞 朝刊
- 490文字
第一生命保険の本社が入るDNタワー21。皇居の堀沿いに立つこの建物はかつて「第一生命館」と呼ばれ、終戦直後にGHQ(連合国軍総司令部)が置かれた歴史を持つ。建物には連合国軍最高司令官だったマッカーサー元帥が執務した部屋が当時のまま今も残る。
執務室は広さ16坪。部屋の真ん中に引き出しのない大きな机と古めかしい椅子が置かれている。机に引き出しがないのはマッカーサーが何事も即断即決したためだという。GHQはこの建物で日本国憲法の基となったとされる「GHQ草案」を起草したり、農地改革を検討したりするなど戦後日本の民主化政策がここから生まれた。
マッカーサーの執務室はそれまで第一生命の社長室だった。GHQは終戦直後の1945年9月に建物の接収を突如通告、第一生命に5日間で引っ越すよう命じた。移転作業は困難を極めたが、4日間で引き渡し準備を整えたという。
GHQがここを拠点にしたのは7年近く。GHQが東京・市谷の陸軍省跡地に移ったのに伴い、52年7月に第一生命に返還された。第一生命は返還60年を記念して22日までマッカーサーの執務室などを1日200人限定で一般公開している。
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