Thứ Bảy, 11 tháng 8, 2012

デビッド・カープ:NY、ハイテク都市へ(NK2012/8/12)

【メモ】
  • 2017年にルーズベルト島にコーネル大学とテクニオン・イスラエル工科大のITキャンパスを開設。
  • ニューヨークは世界に発信するメディアのるつぼ。
  • 多様な人が入り交じり懐が深い。

地球回覧NY、ハイテク都市へ
起業家集う環境、整備進む

 アップル創業者、故スティーブ・ジョブズ氏。シリコンバレーで起業し成功した自信からか、ニューヨークという地をどこか見下していた。「あなたがニューヨークにいる限り(未来のデジタル事業を)うまくはやれまい」。メディア大手ニューズの経営トップが同氏に言われた言葉を回顧している。それをいつか見返す日が来るかもしれない。
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 「ニューヨークの環境しか起業は考えられなかった」。デビッド・カープ氏が起業したのは5年前。20歳のときだ。「技術のるつぼがシリコンバレーなら、ニューヨークは世界に発信するメディアのるつぼだ」
「ニューヨークの環境しか起業は考えられない」(タンブラーCEOのデビッド・カープ氏)
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「ニューヨークの環境しか起業は考えられない」(タンブラーCEOのデビッド・カープ氏)
 運営するサイト「タンブラー」は、世界中のクリエーターがネット上で自分の作品や主張を簡易な形で投稿できる場として急成長。今や7千万近いブログがつながり、1億4000万人が訪れる。今のニューヨークを代表する新興ハイテク企業の1社だ。
 本人は技術系。シリコンバレーはし烈な技術競争の場だが、多くの人の発想は意外に同質的だという。むしろ多様な人が入り交じるニューヨークの懐の深さが魅力だった。
 さらに「驚くかもしれないが、いまは技術者の採用がニューヨークでできる」。金融危機以降、大企業は採用を絞り、若手のエンジニアがあふれている。シリコンバレーからあえて引っ越してきたQwiki社のような例もある。
 ハイテク起業の地として、ニューヨークが磁力を持ち始めたことはデータが示す。全米ベンチャーキャピタル(VC)協会などの調査では、2011年のVC投資の案件数は07年を3割強上回った。シリコンバレー、ボストンなどが軒並み落ち込むなかで唯一、伸びてきた。
タンブラー社本社
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タンブラー社本社
 IT(情報技術)に勤める人口も5万人を突破。9年前を2万人上回る。フェイスブック誕生を描いた映画「ソーシャルネットワーク」では「マジソン街(広告業の別称)にこびるようなところにいるべきじゃない」と斜めに見る場面もあったが、フェイスブック自身、拠点を構えた。
 ニューヨークが「シリコンアレー(小道)」と旗を掲げたのは1990年代半ば。当時はブーム先行の器作りで、夢物語に終わった例も少なくなかった。起業の環境づくりへ、官民で地に足のついた取り組みが実ってきたのも変化だ。
 例えば、市とコンサルティング大手アクセンチュアによる「フィンテック・イノベーション・ラボ」。ウォール街の金融とIT起業家を結びつける試みだ。有望6社を今年選び実際の大手の金融ビジネスに生かせるか、3カ月にわたって支援の場を設けた。
 「2、3年前ならあまり参加する気はなかった」。クレディ・スイスのファルナー最高情報責任者は環境の激変も大きいという。爆発的に増える情報処理。その分析技術では「金融外の起業家や大学研究の最先端に触れることが重要になってきた」という。
 ハイテク都市へ向けた学術インフラも整備が進む。ブルームバーグ市長は昨年末、ルーズベルト島にコーネル大学とテクニオン・イスラエル工科大の誘致を決定。17年完成を目標にIT研究のキャンパスを開設する。元アメリカン・エキスプレス会長で有力VC、RREベンチャーズのロビンソン氏は今以上に「起業家が育つ“温室”環境が整う」と期待する。シリコンバレーの老舗VCでニューヨーク拠点を開設する例も出始めた。
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 都市の姿は好況期に作られるとは限らない。摩天楼の一角、ロックフェラーセンターは大恐慌時、不況対策の大プロジェクトだった。今回、ウォール街を震源とする金融危機でニューヨークは深手を負った。しかしただつまずいて終わるわけではない。新たな変身の好機にする取り組みはむしろ活発になった感がある。飽くなき挑戦は都市としての強い活力を感じさせる。
(米州総局編集委員 藤田和明)

伊藤穣一、夏野剛:日本のベンチャーの問題点(NK2012/8/12)

  • 信用できるベンチャーキャピタルは世界に15社ほど。米国に9、英国に1という具合で、日本はゼロだ。
  • 日本の ベンチャーキャピタルはほとんどが銀行などの出身者で占められているが、彼らにベンチャーキャピタルはムリ。
  • 日本にとって有望な分野はモバイルネット。
  • フェイスブックは戦略を立てない。戦略ができたころには世の中が変わっているから。

創論世界的ベンチャー 日本で生まれるか
伊藤氏「経営助言できるVC 不在」 夏野氏「起業家、お山の大将脱せず」

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米MITメディアラボ所長・伊藤穣一氏
 イノベーションに欠かせないベンチャー企業。IT(情報技術)を中心に日本でも起業の機運が高まるが、世界的ベンチャーは乏しい。突破口はあるか。内外の事情に詳しい伊藤穣一・米マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボ所長と、「iモード」の生みの親、夏野剛・慶応大院特別招聘(へい)教授が話し合った。(文中敬称略)
米MITメディアラボ所長・伊藤穣一氏 ――日本のベンチャーの現状をどう見ますか。
 伊藤 本当に注目に値するようなベンチャー経営者はたくさんはいない。オリンピックに参加できるような一握りの世界だ。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)や、グーグルの創業者らを筆頭に、米国でも年にひとりかふたりしか出てこない。日本は5年にひとりかふたり程度ではないか。
 夏野 人口比を考えれば、能力のある起業家予備軍の数は日米で差がないと思う。違いがあるのはオリンピック選手、つまり成功するベンチャーを生み出す環境だ。日本にはそれが整っていない。
 ――具体的には、どこが問題ですか。
慶大院特別招聘教授・夏野剛氏
慶大院特別招聘教授・夏野剛氏
 夏野 ベンチャーにリスクマネーが回っていない。フェイスブックやグーグルは収入もビジネスモデルもない段階で資金を集めサービスを続けられた。売上高ではなく、技術と起業家の潜在力に投資するという考え方だ。日本のベンチャーキャピタル(VC)はそれができていない。
 伊藤 私が信用するVCは世界に15社ほどしかない。米国に9、英国に1という具合で、日本はゼロだ。
 有力ベンチャーが集まる米シリコンバレーのVCは40年くらいの歴史がある。投資ファンドの成績を振り返ると、(グーグルの大型上場など)何回かのホームランで、ほかのベンチャー向けを含めてすべての投資の元をとっている。そうしたホームランは、ファンドの会議でみんなが投資に合意した案件ではなく、たった1人が自分の直感を信じ、名声をかけて投資したものである場合が多い。日本のファンドマネジャーにはそういう思い切った判断をする自由がない。
 夏野 日本のVCはほとんどが銀行など間接金融の出身者で占められているが、彼らにVCは難しい。ローリスク・ローリターンビジネスの銀行と、ハイリスク・ハイリターンのVCは真逆だ。そうした環境下、日本のベンチャーは軍資金を得にくい。世界に通用する起業家が出にくい最大の要因となっている。政府頼みは好きではないが、2兆円の資金枠がある産業革新機構を活用してはどうか。まずはカネの流動性を高める方向に行くべきだ。
 ――カネだけでなく、起業家に助言するヒトの不足も指摘されます。
 夏野 ベンチャーを起こす人は既存の法規制や利権に縛られないなど向こう見ずな傾向がある。会社が大きくなるにつれ、経営がわかる人材を外部から招くなどチームづくりが必要だ。だが、日本はそのしくみが確立していない。起業家同士は仲がいいが、大企業を経営した経験者とは仲がよくない。コミュニティーが分断され、交流がない。
 伊藤 米国の優秀なVCは元経営者が担い手だ。起業家の気持ちが分かり、世代も近い。彼らはベンチャーの人事などにも口を出す。日本でも上場で利益を得た起業家がVCを始める動きが出てきたが、まだまだ少ない。
 ――上場後の株価急落など懸念材料はあるものの、交流サイト(SNS)ではフェイスブックが日本の競合ベンチャーを突き放しています。
 夏野 ザッカーバーグ氏は経営体制などについて投資家から意見され、CEOでありながら必ずしも自分の思い通りにできていない。だからこそ成功したと思う。個人の好き嫌いで経営をしていない。それに対し、日本の起業家は気に入る人間だけを周りに集めている印象が強い。人を使うのが上手でなく、自分の能力以上の人材を採用するのを恐れている。自分がお山の大将でいたい。
 伊藤 フェイスブックに出資した有力投資家のなかには、主だったSNSベンチャーすべてに投資し、「こうやれば失敗する」とザッカーバーグ氏に助言できるSNSの達人もいる。お金だけ出し、あとは頑張れというのではなく、徹夜で一緒に働いてくれる人がいる。もちろんザッカーバーグ氏自身も何が何でも勝つという集中力はすごい。
伊藤氏「製品力で顧客をつかめ」 夏野氏「モバイルネット 商機に」
 ――日本のベンチャーは世界で巻き返せますか。
 伊藤 日本のベンチャーは製品より、大企業との連携などビジネスの手法で生き残ってきた。ITでも起業家は銀行マンや営業マン、コンサルタント出身が目立つ。しかし、爆発的に成功するベンチャーは製品そのもので顧客をつかむ必要がある。そうでなければ国際競争力があるとは言えず、イノベーションにつながらない。日本のベンチャーは優秀な人を集められないという問題もある。大企業が人材を抱え込んでいる。
 夏野 人材確保の点ではベンチャーにとってチャンスだ。(経営不振や不祥事などが相次ぎ)大企業に入っても夢や将来性がないと思っている20代の優秀な若者は多い。彼らは独立志向が強い。ベンチャーが本気でいい人材を採ろうというなら、給料を上げるなど過去の延長線ではない報酬体系をつくればいい。長い目でみれば大きな経済的負担ではないはずだ。
 ――日本にとって有望な分野はどこでしょうか。
 夏野 やはりITだ。日本ではスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)だけでなく、普通の携帯もネットにつながり、ほぼ100%のモバイルコミュニティーができている。スマホの普及でモバイルネットが世界に広がれば、先行する日本の商機だ。日本のソーシャルゲーム会社は米国でも存在感がある。モバイルのノウハウがあるからだ。
 伊藤 アップルで音楽プレーヤー「iPod」の開発に携わったトニー・ファデル氏はネストというベンチャーで、スマホ並みの技術を盛り込んだエアコンコントローラーを商品化した。外出先からも家のエアコンを操作できる。エアコンを手がけITもわかる企業はなかなかない。そういう発想を持てば大きな市場が見つかる。
 ――日本は大企業を含め産業界に閉塞感があります。
 夏野 この10年で個人の情報収集、発信の能力は飛躍的に高まった。グーグルで何でも調べられるようになり、大学も知識伝達型の授業には、もはや意味がない。あらゆる社会システムは変化を求められ、会社も進化しないといけない。「創業時のマインドを忘れるな」という経営者がいるが、「忘れろ」と言いたい。過去のしがらみを切り、どんな価値を顧客に提供できるかゼロから考え直すべきだ。
 伊藤 フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は「フェイスブックは戦略を立てない」と言う。戦略ができたころには世の中が変わっているからだ。同社の持ち味は変化に反応する機敏さだ。日本の大企業トップの多くは技術がわからず、経営にITを組み込めていない。ベンチャーならITのわかるトップが物事を決め、どんどん会社の姿を変えていける。
 ――日本のベンチャーに明るい材料はないですか。
 伊藤 2年ほど前までは絶対にだめとあきらめていたが、最近は創造性や技術力で勝負しようというベンチャーが増え、質が上がっている。シリコンバレーのベンチャー支援施設に入り、何とか英語でコミュニティーに飛び込んでいく起業家も出てきた。医療制度など米国にも問題はある。欧州も苦しい。日本だけがだめというわけではなく、落ち込む必要はない。
 夏野 現在は金利が安く、国債も安全とは言えず、デフレでモノにも投資できない。ベンチャー投資などハイリスク・ハイリターンが受け入れられる土壌になってきた。個人金融資産や企業の内部留保などカネがあり、ハイテクを使いこなす消費者もいる。他国に比べれば病気は軽く、治せば世界の手本になれる。
 いとう・じょういち 95年ネット関連企業のデジタルガレージ共同創業。米ニューヨーク・タイムズ社外取締役も務める。46歳。
 なつの・たけし NTTドコモ時代に携帯電話サービス「iモード」事業を手がける。ドワンゴ、グリーなどで取締役も。47歳。
成功事例出ればムードも変わる
 シリコンバレーも成功物語一色ではない。ネット界のスターだったヤフーは業績不振にあえぎ、名門サン・マイクロシステムズも買収で表舞台から消えた。廃れる会社がある一方、膨大な数のベンチャーが次の主役をねらい果敢に挑む。その新陳代謝が競争力の源。失敗もシリコンバレーの重要な一部だ。
 両氏とも各国を飛び回り目が肥えている分、日本のベンチャー評は辛口。だが「世界をめざす」と語る起業家に出会う機会は確実に増えた。失敗を重ねつつ、ひとつ成功事例が出れば、ムードは一気に変わる。
(編集委員 村山恵一)


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白石隆:米主導秩序、崩壊あり得ず(NK2012/8/8)

舜帝朝見 ( しゅんていちょうけん ) の 儀

あいさつを受ける舜帝
唐門(からもん)は陽明門をくぐった正面に  By 日光観光協会
唐門(からもん)は、大名などの高官だけが通ることができた一番重要な門です。
いまでも国賓クラスの人々だけが許されています。

600以上の彫刻が施されていますが、中心は、
    舜帝朝見 ( しゅんてい ちょうけん ) の 儀 ( ぎ )
です。

舜帝が正月に大勢の役人からあいさつを受けている場面です。
朝見とは、臣下が天子に拝謁することです。

中国では、堯帝(ぎょうてい)、舜帝の時代が最もよく国が治まった理想の時代といわれています。

堯舜の時代は中国神話の世界です。

◇                    ◇                    ◇

舜帝は、農夫でした。
継母からいじめられていましたが、「ママハハでも親は親です。」といって孝行を続けました。
堯帝は、舜帝を気に入り、娘婿にしました。

堯帝の没後、堯帝の息子が帝位につくはずでしたが、人望がありませんでした。

舜帝が、やがて周囲に推されて、帝位につきました。

ここから禅譲(ぜんじょう)という言葉が生まれました。
禅譲とは、天子が世襲しないで、有徳の人に位を譲ることです。

◇                    ◇                    ◇

有徳の人・舜帝は、どことなく徳川家康に似ています。
舜帝は徳川家康を模して彫られたようです。

◇                    ◇                    ◇

舜帝は「内平外成」という言葉を残しています。
内たいらかにして、外なる、ということです。

舜帝が、優秀な人材を登用した結果、国がよくおさまりました。

内平外成(内平らかにして、外成る)から
   平成
の年号が生まれました。

東照宮境内案内図

【付記】
かつて中国古典は、日本人の教養の根幹でした。
なおざりにされすぎているようです。




Thứ Sáu, 10 tháng 8, 2012



ひびき、県産品飲食店を有楽町に開設(NK2012/8/3)


ひびき、埼玉県産品そろえた飲食店を有楽町に開設 

2012/8/3 1:02
日本経済新聞 電子版
709文字
 豚肉串焼きの持ち帰り店を中心に運営するひびき(埼玉県川越市、日疋好春社長)は9月、東京都千代田区に埼玉県産品をそろえた飲食店を開設する。食材や酒、調味料からコースターに至るまで県産品にこだわり、「埼玉」を前面に打ち出す。埼玉県は農産品などのブランド化を進めており、ひびきのような民間の取り組みを後押しする考えだ。
 東京国際フォーラムの地下1階のレストラン街に「黒豚劇場 ひびき」を開店する。店舗面積は145平方メートルで、客席数は65席。設備投資額は3500万円程度を見込む。
 埼玉県のブランド豚「彩の国黒豚」を使ったしゃぶしゃぶなどを提供する。ほかにコメは県産ブランド米の「彩のかがやき」、醤油(しょうゆ)は坂戸市の弓削多醤油など県産の製品を使う。酒類は、埼玉県酒造組合に加盟する30以上の蔵元の酒を順番に提供するほか、ビールも地ビール製造の協同商事(川越市)の「COEDOビール」を用意する。
 野菜も調達ができない場合を除いて県産品を使い「食材の8割以上が県産品となる」(日疋社長)予定だ。食材以外でもコースターに県産の間伐材を使う。内装も蔵の街である川越市をイメージしたものとし、埼玉を前面に出した店舗とする。
 メニューは食べ物50種類と飲み物80種類で、客単価は4000~4500円を想定する。店舗近隣のビジネスマンのほか、埼玉県関連の会合などに出席する人の需要も見込む。
 年間1億2000万円の売り上げを目指す。今後3年間で、首都圏で同様の店舗を5店舗程度に増やしたい考えだ。
 ひびきは川越市にある県産品にこだわった飲食店のほか、東松山市名物の豚肉を使う「やきとり」の持ち帰り店など16店舗を運営している。

ジョン・アイケンベリー :米主導の戦後秩序は続行(NK2012/8/10)

無極化する世界(4)「自由の秩序」、文明を超えて 

ジョン・アイケンベリー プリンストン大学教授
米の主導性、失われず 問題解決へ多国間協力を

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<ポイント>
○米主導の戦後秩序は衰退せず新秩序に転換
○民主主義の問題はそのまま国際政治の問題
○各国の協力により民主世界は安全で豊かに
 世界秩序は米国一極支配から、新しい時代への「大いなる転換」を遂げつつある。では、新しい世界秩序はどのような形になるのだろうか。
 中国の台頭と米国の衰退でリーダーシップの交代が起きるという見方や、数世紀に及んだ欧米主導の世界秩序からアジアの力と価値観に基づく秩序への転換が起きるとの見方もある。また、勢力伸長の著しい非欧米諸国(インド、ブラジル、南アフリカ、トルコ、インドネシアなど)が指導的地位と権威を争う多極体制への転換が起きるとの見方のほか、新しい世界秩序は形成されず無秩序と混沌に陥るという悲観的な見方もある。
 そこに共通するのは、米国は長い衰退期に入り、同国が構築し過去半世紀にわたり率いてきた自由主義志向の世界秩序は過去のものになったとの認識だ。だがこうした見方は本質を見誤っている。現在進行中の大いなる転換は、米国が主導してきた戦後秩序の衰退でなく、むしろ成功を意味する。米国が擁護してきた自由主義思想は、放棄されるのではなく、逆に支持を広げている。今なお世界各地で米国のリーダーシップは、安全保障の実現と開かれた世界経済の安定に必須とみなされている。
 米国主導の旧秩序からの転換は2つの原動力にけん引されている。一つは中国、インド、ブラジルなど新興国の台頭だ。ここ10年で高度成長を通じて世界の舞台に華々しく登場し、貿易と投資の両面で世界経済の主役にのし上がった。もう一つは相互依存型の問題の深刻化だ。すなわち地球温暖化、核拡散、国境を超えるテロ、爆発的感染、財政不均衡、景気後退といった差し迫った危険である。経済と安全保障の面で世界は緊密に結ばれ、一国の繁栄と安全はすべての国の政策と協力に大きく依存するようになった。
 変化を促すこれらの原動力は、米国主導による自由主義的国際秩序の成功から生まれたのであり、失敗から生じたのではない。第2次世界大戦後、世界の秩序を構築する機会を得た米国は、自由主義に基づく国際秩序を提唱し、緩やかなルールに従う開かれた秩序の実現を目指した。自由貿易体制の確立を求めて世界貿易機関の設立にこぎつけ、ブレトンウッズ体制の確立を訴えて通貨・金融問題に関する国際協力を実現した。人権と法の支配に関する万国共通の規範の制定も主張した。
 米国は広範な同盟関係も築き上げた。当初は冷戦中の旧ソ連に対抗するのが目的だったが、冷戦後も同盟は拡大・深化し、今日ではアジア、欧州、中東の地域安全保障を網羅する枠組みとなっている。米国主導による多国間組織や安全保障協力の枠組みの中で、あらゆる地域の国々が貿易志向の成長を遂げ、民主化を果たした。その過程で冷戦時代の米日欧による「3極秩序」は、グローバルに広がる自由主義的秩序に変貌した。
 今日大いなる転換が進行しているのは、米国主導の旧秩序が所期の目的を果たしたからにほかならない。その目的とは、多国間統治の枠組みの中での貿易、成長、相互依存の促進である。戦後秩序の設計者は、軍事・経済ブロック、帝国主義、重商主義、勢力争いで特徴づけられる1930年代への逆戻りを食い止めようとした。そして自由主義的な世界秩序を確立し、多国間のルールと組織や民主国家の連帯により、その秩序を強化すべく努力した。
 今日の国際政治の「問題」、すなわち非欧米諸国の台頭にどう対応するか、増え続ける相互依存型の問題への取り組みでどう協力するかという問題は、この自由主義的世界秩序が過去半世紀うまく機能したからこそ生じたといえる。この意味で米国は衰退していないし、自由主義的世界秩序も輝きを失っていないが、米国が特別な国、支配的な国でなくなったことは事実だ。
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 とはいえ現在の転換は、「アジアの台頭」や「多極体制への回帰」とみるべきではなく、自由民主主義と資本主義の世界的な拡大とみなすべきだ。世界が民主的になっていることは間違いない。過去2世紀でパワーのある国、富裕な国、人口の多い国の大半が民主国家になった。絶対数でも世界の約半分に達した結果、民主国家の姿は大幅に多様化した(表参照)。民主主義世界は、もはやアングロサクソン型あるいは欧米型が主流とはいえない。今や世界のすべての地域に、また文明の枠を超えて民主国家が存在する。
 古い国と新しい国、欧米と欧米以外が顔をそろえ、発展段階も人種も様々だ。民主主義を掲げる多様な国々は、自国についても、世界における位置づけについても、多様な意見を持つ。拡大した民主世界は国際政治の重心として機能する一方で、民主主義の問題がそのまま国際政治の問題となるケースが増えている。
 新興国の躍進を受け、米国など古い先進国は、主導的立場を彼らと分かち合う必要に迫られるだろう。いうなればグローバルガバナンス(統治)の「上席」に新人を迎え入れる余地をつくらなければならない。だが、今後数十年間に取り組むべき世界秩序の課題は過去数世紀と異なり、戦争や大国間の勢力争い、覇権の野望といったものではない。

 今日の重要な問題は民主主義や複雑な相互依存にある。例えば米国、ブラジル、インド、日本、欧州の関係では、どの国が支配するのかといったことは問題にもならない。課題は、持続可能な成長の実現、エネルギー・環境問題の解決、人口問題への対応、社会のセーフティーネット(安全網)の確保のために協力できるかどうか、ということだ。
 古くからの民主国家は不平等の深刻化、経済停滞、財政危機、政治の行き詰まりなどの問題に直面した。新たに民主国家となった国々は汚職、民主化の後退、不平等の深刻化などの問題を抱える。多くの民主国家で経済成長が鈍化するにつれ、愛国主義的で大衆迎合的な動きが復活して勢いを増してきた。同時に複雑な相互依存型の問題も持ち上がり、貿易、環境、国連改革、核拡散防止の分野では、グローバルな問題解決を目指す試みが厚い壁にぶつかり、手詰まり状態に陥っている。
 世界の民主国家には、各国が思う以上に共通性がある。どの国も地域、文明、南北・東西の違いを超えた問題に直面しており、各国が協力してこそ民主世界は安全で豊かな場所になる。クリーンエネルギー開発、保健・医療、労使問題、失業問題などで互いから学ぶこともできる。拡大した民主世界には、米国のリーダーシップを排除するのではなく、より包括的な共有型リーダーシップの構築に向けて米国と協力する誘因がある。
 多国間協力の促進と21世紀型の統治体制の構築を目指すうえで、米国は今後数十年にわたり、唯一無二の存在であり続けるだろう。世界の多様性を体現する「小宇宙」を形成しているのは米国だけだ。移民国家の米国では、世界各地から来た大勢の人々が暮らす。彼らのネットワークが米国を世界に、世界を米国に結びつけており、この点で他の民主国家の追随を許さない。
 米国は今なお、革新と再生を強みとする経済としては世界最大の規模を誇り、教育、科学、技術、軍事力、法治の面で優位に立つ。今後、米国が世界秩序における役割と位置づけを再定義しなければならないことは確かだ。だがそれは、衰退あるいは敗北したからではない。最も大胆な予想すら超えて続いてきた自由主義的世界秩序の「創造の現場に立ち会った」からである。
=この項おわり
 John Ikenberry 54年生まれ。シカゴ大博士。専門は米国政治外交史